幸せの記憶/栗栖真理亜
 
幼子の眼に映る淡い幻(ゆめ)

揺らめく色彩が鮮やかに通り過ぎ
輝きは更に強さを増して心の奥に強く刻み込まれてゆく
焼き付けられた記憶が勇気を与えてくれるから
握られた手のひらが光を集めて涙を希望に変える

陽射しに映える白いカーテンの翳が哀しみと愛しさとを奏でて
慈しむ気持ちを育てるから
一歩一歩おぼつかない足取りでも歩いてゆけるのかしら
暖かな風が頬に接吻(キス)する喜びを優しさに変えて
夢見るように微笑みを浮かべよう
愛情をこの腕に抱き瞬く時刻(とき)に身を任せば
眩い明日が小さな手腕(て)をひいて現の闇を打ち負かす力を与えてくれる

これからどんなに辛い壁が立ちはだかろうと
誰かを信じて視線を反らさず真っ直ぐ見つめてゆけば
苦悩した分だけ乗り越えてゆけるさ
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