バタフライ/ひだかたけし
苦く甘やかな時の既に過ぎ去り
撃ち落とされたバタフライ、
掴み取りにいくこの場所にて
複雑に絡み合った人生因果を
少しずつ解いては閃光走り
(クスリはもう効かない
自らがクスリに成るその時)
とろとろとろけいく時空
瞑目視界の銀白の彩、
どんどんどんどん輝き増し
意識のしっかり保たれながら
ねっとりと粘り始める銀白の
彩のもうこれ以上なく留まり
撃ち落とされたバタフライ、
次々と掴み取りにいけば
いくほどぐんぐん現れる
繊細にして大胆な漲り
色に音に形に生命に
充ち溢れ返るこの世界
自らの内から外へと
抜け出し外は内と成り
以前の内を外から観入り
そして鮮やか浮かび現れる、
蘇りのバタフライ
新た捉えられ生かされ
絶えず流れる光の照り輝き
この世に確とありながらも
最早この世のものではない
静かさの更に深みに潜むもの
太古からヒビキヒカリ放つ、
あの原音響から 死して成れと
この今という間合ひ猶予の瞬間に
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