原口昇平
闘うことをやめた人々に。
第二次世界大戦中のヨーロッパの一角ポルトガル。新聞記者ペレイラは、ノン・ポリティカルな姿勢を守りながら、文芸欄担当として、これから死んでいく作家たちの追悼記事を前もって用意しておこうと思い立ちます。たまたま読んでいた雑誌に掲載された論文に注意をひかれ、その論文を書いた学生に電話をかけたことがきっかけで、彼はとてつもない運命の渦に巻き込まれていくことになります。中立的立場に立とうと努め、戦争をめぐる状況に一切関わらないでい続けようとしますが、ある重大な事件が起こり、彼は積極的に闘う人間へと劇的に転じます。
終始「……とペレイラは供述している。」という一文が差し挟まれながら物語(=調書)は展開するのですが、その一文とラストとのからみ具合が読者に衝撃を与えます。どんな衝撃かは読んでみてのお楽しみ。